ジェシカ・ドゥーシェンによる
アンジェロ・ヴィラーニへのe-インタビュー(原文)
ドゥーシェン(JD):
アンジェロ、何が起きたのかしら。
ヴィラーニ(AV):
専門家はなぜ私の首や肩が問題になってしまったのかよくわからなかった。あるものは、若い頃の怪我とか、重い学校の肩掛けカバンのせいだとか言った。
JD: 今までの経緯は?
AV:
チャイコフスキーコンクールから2-3年後、石灰化した傷組織が神経を圧迫していると診断された。いろいろな治療がなされ、しばらくかかってからやっと状
況が改善したのを感じた。私が現在かかっている専門家Andrew
Croysdaleは過去8年間私の肩の治療を担当してきた。彼はTui-naという中国式の、深い組織までマッサージするという技法の専門家だ。
JD: 復帰の決意は難しいものだった?
AV: 本当の事を言うと、私はこれを25年待っていた。
JD: コンサートというフォーマットに関わるのをどう思う?
AV: 私にとって公衆の面前で演奏するということは、常に両刃の剣だ。恐怖であると同時に、スリリングでもある。そういった両面を気に入っている。
JD: あなたをよく表すレパートリーは?そしてそれはなぜ?
AV: 私はロマン派の音楽に親近感を感じるが、一般的に表現主義ならどんな音楽でも好きだ。ムードや雰囲気は情念と同じ位、重要なものだと思う。
JD: あなたの先生と、もっとも影響を与えた人を教えて。
AV:
メルボルンでは、私の先生はステッフェン・マッキンタイヤーで、彼はミケランジェリの弟子だった。ヴィクトリア大学の芸術部では、ギレリスの弟子だったア
レクサンダー・セメツキーに学んだ。10歳からはピアニストだけではなく、オペラ歌手や指揮者のレコードを集めた。間もなく、異なったアーティストによる
オペラや協奏曲のレコードを買うようになった。何が違うか知りたかったんだ。
JD: どのようなタイプの演奏をよく聴きますか。
AV: 何年も録音を収集し、聴き、そしてタワーレコードで働いた後、古い録音に戻ってその中に常に新しいことを発見するということのすばらしさを認識し
た。近年はそういった古い宝を、優れたアマチュアピアニストである私の婚約者と発見し、共有するということに取り組んでいる。
私がホロヴィッツ、リヒテル、シフラのような巨匠の演奏を最初に聴いた時、私は彼らの前の世代のピアニストに強い興味を持ち、なぜ彼らがあのように演奏す
るようになったかを知りたくなった。いかに彼らが奥が深く、多面的である事に気づくまで時間はかからなかった。
JD: 好きな録音をいくつか、そしてその理由も教えてください。
AV:
イグナッツ・ティーゲルマンのショパン第四バラードは、荒れ狂うヨーゼフ・ホフマンのそれと並ぶ、奇跡のような解釈だ。この二つの脅威を何度体験しても驚
いてしまう。二つの解釈は全くことなるが、彼らの方法でポーランド的なのだ。
同じことはアーヴィン・ニレジハージの「二つの伝説」にも言える。彼においては、リストの音楽のハンガリー的な要素を強調されるだけでなく、聴き手の批評精神が情念に
よって圧倒されてしまうほど、形而上学的で幻想的な面が前面に出てくる。
ワルター・ギーゼキングはラヴェルとドビュッシーの録音でよく知られている。しかし、彼はシューマンにおいて、どくに「ダヴィッド同盟舞曲集」において
もっとも説得力がある演奏をすると思っている。強烈なまでに明示されたリリシズムが、深い個人的な親密さに対比される感動的な例を見ることができる。崇高
なる威厳と忍従のマントの下に隠された悲劇的な心の痛み..........。
JD: あなたの今の計画は?
AV: ダンテ・ソナタの練習で隣近所の頭をおかしくさせないことさ!
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