サ イト更新情報
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5.23.2026

1935年、シェーンベルグは友人宅でニレジハージの演奏に驚嘆、盟友のオットー・クレンペラー に向けて長 文の手紙を記した。この時の手紙の文面自体は英文の形で古くから広く共有されていたのだが、原典、つまりオリジナルの手紙の 在処や、オリジナルの 出典が定かでなかった。バザーナにも一度このことを訊ねたことがあるのだが、彼もこれについては知らなかった。若干、手紙の真実性を疑っていたこと もある。ベンコーあたりが偽造したのでは、と。

先日、思い立って、これについて詳しく調べたところ、まず、オーストリアのシェーンベルグ・アー カイブに、 1935年のシェーンベルグの手帳のページにニレジハージの筆跡で名前と住所が書き込まれているのを見つけた (リンク)。続いて、同じアーカイブにドイツ語で書かれたオリジナルの手紙を見つけた (リンク)。英語の手紙との先入観があったため、今まで見つけられなかった。バ ザーナに知らせたところ、両資料とも初めて見た、とのこと。長年の疑問が解決。


5.19.2026

ベルガモのドニゼッティ劇場でソコロフを聴いた。アムステルダム、ブダペスト、フィレンツェ、プ ラハに続いて5回目。

青いスクリーンを背景に真っ暗な舞台に登場すると、ソコロフはベートーヴェンの第4ソナタを弾き始めた。一つ一つの音に重量感があり、あるべきタイミン グより若干打鍵が遅れ、溌剌としたものは一切なく、音楽はそこに留まり、沈み込む。緊張感は保たれているももの、推進力や覇気は減 退し、多くのピアニストの先達が辿った道の上にソコロフもいるのだと認識させられた。以前、アムステルダムの演奏会で聴いたベートーヴェンの第7ソ ナタの緩徐楽章の巨大な音楽に驚嘆した記憶があるが、今回の第4ソナタの緩徐楽章にもそれと似た感覚があった。続くバガテルも同じ で、自然な流れよりは、立ち止まって虫眼鏡で細部を拡大するような、言ってみれば後期ミケランジェリを彷彿とさせる演奏。こういった様式のためか、ソナ タ、バガテルとも、絶対音楽というよりは、標題性をもつバラードのように聴こえた。一つ気になったのは、昨晩のソコロフは、驚くほど簡単 なとこ ろでミスタッチをしていた。以前からミス一つない演奏をするタイプではないのだが、以前よりもミスが増えた気がする。それも単純なミスタッチとは質が異な るタイプのミスが。音楽の推進力の低下と合わせると、老いの影響が若干出てきているのかもしれない。

一方で、文句なく素晴らしかったのがD960で、前述のような最近の彼の特性と楽想がマッチして いたせいか、音楽 がよ り自然に流れてきこえた。ベートーヴェンでは作品を逸脱するように感じた多彩なパレットも、この作品ではシューベルト晩年の世界を描きだ すことに効果的に寄与していた。第2️楽章で長調に変わる箇所は、まるで絶望の中に一条の光が差し込むかのようで、優れた宗教画を眼前に する思いだった

アンコールはブラームスのOp.10 No. 1, No. 3, Op. 79 No. 2と、ショパンのマズルカ3つ。いつもと同様に、綿密に「デザイン」された感のある本編の演奏よりも、自由で即興性が感じられる演奏だった。演奏会が終 わっ たのは11:30。

折しも、ドニゼッティ劇場では、地元出身の指揮者ジャナンドレア・ガヴァッツェーニを記念する音 楽祭が進行中。ロビーの一つは「ガ ヴァツッェーニの間」とされ、彼の胸像や写真などが飾られていた。ガヴァッツェーニはスカラ座の音楽監督を務めたこと もあるイタリア・オペラの重鎮で、ヴェルディ、ベッリーニ、ドニゼッティのマイナー な作品の紹介に功績があった一方、イタリア国外での知名度は低い。その一つの理由に、スタジオ録音に恵まれなかったことがある。50年代後半から 60年代前半にかけて、黄金時代の歌手を擁していたデッカは数多くの録音を行ったが、歌手に主眼を置くあまり、劇場で日常の公演をソツ なくこなす、没個性な伴奏指揮者タイプが使われることが多かった。ガヴァッツェーニがテバルディ、デル・モナコ、バスティアニーニと録音 した 「アンドレア・シェニエ」のように、幸運な例も中にはあるのだが、当時のデッカの録音の多くは、ガヴァッツェーニとセラフィンを例外として、指揮者に人を 欠いたがために今となっては競争力に欠けてし まっている。

一方で、イタリア国内、とくにベルガモではガヴァッツェーニは尊敬されていて、通りや広場に彼の 名がつけられている。昨晩、隣に 座った地元民の女性も、「ここではガヴァッツェーニは非常に有名。音楽に限らず、文学、歴史、文化などをもたらした」 と言っていた。「ガヴァッツェーニは私の好きな指揮者の一人だ」というと、「ガヴァッツェーニのことも知っているの?」と驚いて、「おめでとう!」と言わ れた。



2.2.2026

Nyiregyházi Live Vol. 4のリリース日が決まった。2026年2月18日。予約注文はこちらから。

プロモ映像は以下。日本語字幕オプション付き。



1.25.2026

Muse Press、ケヴィン・バザーナと共同で進めていた、ニレジハージの120ページ超の大作「ドリアン・グレイの肖像」のスコアがリリースとなった。こちらで注文可能。

ニレジハージが自身の傑作とみなしていた作品で、長らく楽譜が行方知れずだった。数年前にソネットのアーカイブを整理した際に、二冊の自筆譜 のコピーが見つかり、それをもとに校正作業がここ数年進んでいた。ピアノのための幻想曲で、おそらく演奏時間は1時間を超える。

Nyiregyházi Live Vol. 4のリリースについても近日中に発表できると思う。現在CDの到着を待っているところ。