サイト更新情報
11/29/07

「ベーゼンドルファー、冬のナイアガラ」

ヤマハがベーゼンドルファーを買収するとのニュース。報道はされていましたが、驚きました。これでベーゼンドルファーが身近になればいいですね。ベーゼンドルファーは一度だけ弾いたことがあります。その時は、レコードで聴くような特別な音色はなく、あまりの普通さに正直拍子抜けしました。ベーゼンドルファー用の調律がされてなかったのかもしれません。そういう特性を考えると、単なる買収だけでなく、ベーゼンドルファーの音を知る調律師達もきちんと確保し、また、養成していって欲しいと思います。

今年は寒くなりそうです。シアトルというのは、普段は雪が少なく、東京よりも暖かい冬を送ることができます。ところが、昨年から今年の初旬にかけては、何日も沢山の雪が降りました。今週、早くも降雪の予報が出ています。異常気象が進んでいるのでしょうか。

一月下旬、トロントのフラメンコのパコ・デ・ルシアのコンサートのついでに、ナイアガラまで足を伸ばしました。上がそのナイアガラの風景。水しぶきが滝の周辺に凍り付くため、ちょっと他では見られない景色を見せてくれます。もちろん、その水しぶきがこっちに飛んでくるわけですから、物凄く寒い。ただ、水の勢いがあるので、滝自体が凍り付くことはありません。


カナダ側のナイアガラ周辺にはアイスワインという、遅摘みのワインをさらに樹上で凍らせたブドウからつくる甘口ワインで有名なワイナリーが多くあります。ドイツでアイス・ヴァインと呼ばれているものと同じです。これは、カビの感染と遅摘みによって果汁が濃縮される貴腐ワイン(ドイツで言うトロッケンベーレンアウスレーゼ
)とはちがって、樹上で遅摘みブドウを凍らせることによって果汁を濃縮させます。ちょうど私が訪れた1月下旬は、ナイアガラ近くの小さな町で「アイスワイン・フェスティヴァル」が行われており、写真のようにテントの中で試飲会が行われていましたhttp://www.niagaraicewinefestival.com/。入り口でトークンを買うと、誰でも参加することができます。皆、寒い中、スキーに行くような装いでチョコレートを齧りつつワインを飲んでいました。



上は、そんなワイナリーの一つ、イニスキリン・ワイナリー(http://www.inniskillin.com/jpn/default.asp)の風景です。ここは、アイスワインのワイナリーとしては、北米ではもっとも有名なもので、日本でもワインを購入できる筈です。テントで試飲した時にも、甘さと酸味のバランスが一番程よいワイン、という印象を持ちました。この時期になると、ワイン畑周辺はすっかり雪景色です。こんな状態になってもまだ収穫しないのがアイスワインたる所以。



拡大写真、ブドウが潰れかけているのがわかるでしょうか。氷点下に長期間置かれるため、果実内の水分がどんどん飛んでいってしまうわけです。ただ、干しぶどうのようにカサカサにさせるのではなく、水分はしっかり残っています。写真程度に濃縮されたもので、「そろそろ摘んでもいいかな」という状態です。実際、このブドウを摘んで食べると大変甘く(もちろん許可をとりました)、アルコール分が無いことを除けば、テントで飲んだアイスワインの味や香りと変わりありませんでした。

ちなみに、この写真のブドウはVidalという品種で、皮が厚く、非常に特徴的な、爽やかなブーケを持っています。他の品種としては、リースリングやカヴェルネ・フランなども使っていますが、個人的にはVidalのアイスワインの香りに鮮烈な印象を受けました。375mlのものが1本30-60ドル程度です。日本だとこの2-3倍します。

難しいところは、寒すぎても暑すぎてもいいアイスワインができないことです。報道によれば、ここ数年の北米の異常気象の影響は、ナイアガラ周辺のアイスワインの生産にも大きく影響しているようです。保険の意味もあるのかもしれません。イニスキリンでは、遅摘みでないブドウを使う、通常のワインも作りはじめていましたが、飲んだ限りはまだまだ実力不足、というところでした。

雪が多い、と無邪気に喜べない昨今です。

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11/28/07

「M&AのCD、HMVで予約開始」

ニレジハージ晩年の未発表録音を多く含むM&AのCD、HMVから予約できます。12/28発売とのことです。予約ランキングで9番目につけています。

http://www.hmv.co.jp/news/article/711280087

上のサイトにも一部が掲載されているライナーノーツですが、Kevin Bazzanaの文章を、プロの翻訳家の方が訳したものが収められています。二週間前、Kevinからpdfファイルとして送られてきたものに目を通しました。この訳が翻訳ソフト調で、日本語だけでは読んでいてもよくわからない、という印象を持ちました(Kevinの原文自体は理解の難しい文章ではなく、明快なものです)。また、ミス、誤植、人名、固有名詞の日本語表記など、細部に改善の余地を見ました。来月、レビューを書く予定ですので、そこでまた言及するかもしれません。

まずは、貴重な録音をおさめたCDの国内での発売を喜びたいと思います。

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11/23/07

US版のLost Geniusが郵送で届きました。写真の質がカナダ版より少し良くなっています。カナダ版も再販では写真の質をあげる予定です。個人的には、US版のデザインが一番好きですね。

昨日は感謝祭の休日ということで、ゆっくり休みました。この日ばかりは、日頃の動物愛護精神が都合よく忘れ去られ、アメリカ中で何百万というターキーが焼かれます。私は今年は、ジャーナリストである友人のJに招待されました。Jは私の親友の叔母で、何度かホーム・パーティに呼んでもらっています。

大統領選挙が近づいている、ということで、政治の話題になりました。Jは80年代にピューリッツアー賞を受賞しており、現役時のクリントン大統領やヨハネ・パウロ二世にもインタビューしたことがあり、面白い話が沢山きけます。彼女曰く、生身のクリントンは「もの凄いカリスマの持ち主。会った途端に恋に落ちてしまうような感じ」なのだそうです。思いだすだけでメロメロ、という感じでした。「彼があんなこと(モニカ事件)になったのもわかるわね」とのこと。これについては、ワシントン・ポストのボブ・ウッドワード記者も同じようなことを言っていました。彼はウォーターゲート事件の取材を始め、数々の実績をあげた百戦錬磨のジャーナリストです。そのウッドワードでさえ、クリントンの存在感に圧倒され、インタビューでは自分を見失ってしまったようです。「彼は強烈なアイ・コンタクトで人を呪縛する」と講演で話していました。日本では必ずしも評判は良くないクリントンですが、民主党支持者の間には、いまだに彼を懐かしむ声をよく聞きます。

Jに、現大統領のブッシュについての記者仲間の評判を訊いてみました。日本でもアメリカでも、ブッシュ大統領は頭が悪い、というのが通説になっています。しかし、J曰く、「彼は言われているような馬鹿ではない。馬鹿な善人とみせかけているが、実は底意地が悪い」という興味深い返事が帰ってきました。世界中で悪評のブッシュ大統領ですが、身近な記者の間での評判もあまり良くないようです。

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11/14/07

「Music and Arts のCDのカバー写真」

題名の通りです(クリック)。もうこれで発売は疑いないでしょう?

ピアニストのMichael Sayers氏は、ニレジハージの崇拝者の1人として、ニレジハージサイトなどを通じて活動されています。サイト立ち上げの際も真っ先に連絡をくれました。彼の演奏は以下から聴けます。

http://www.myspace.com/pianistmichaelsayers

ショパンは最初きいた時、そのニレジハジアンな解釈に一瞬唖然としました。一聴の価値があります。

「Lost Genius」のドイツ語版である、「Pianist X」の評が、Die Zeitに載りました。Kevinの言では、「最高のフィクションのように読める。まるで探偵小説のようだ....」という一文があるそうです。

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11/12/07

「楽譜サイトの閉鎖」

お気づきになった方もおられるでしょうが、International Music Score Library Project (IMSLP)(http://imslp.org/index.php?title=Main_Page)というサイトが閉鎖になっています。このサイトは、パブリックドメインのスコアを集めたサイトとしては最大のもので、交響曲のピアノ編曲版、オペラのピアノ・ヴォーカルスコアを初め、入手の容易でない貴重なスコアが沢山おいてありました。以前、4手連弾のスコアに絞って検索した際には、交響曲など、400近いスコアがヒットしてきたことがあります。もちろん、無料でダウンロードできました。運営は学生有志の方が行っていたようです。

ところが、8月、そして10月の上旬、オーストリアの楽譜出版社「Universal Edition」から、プロジェクトの一部停止を求める手紙が来ました。IMSLPのサイトにある楽譜の一部は、アメリカとヨーロッパではパブリックドメインになっていない、というのがその理由です。例えば、ヨーロッパの場合、作曲者の死後70年が経過しなければ、パブリックドメインに入りません。IMSLPにあったリヒャルト・シュトラウス作品などは、ヨーロッパの基準では掲載できない、ということになります。IMSLP側は、個々の楽譜に対処する労力も資金もない、ということで、サイト全体を閉鎖するという処置をとりました。現在、IMSLPは、著作権法が緩いカナダのサーバーでの運営を考えているようですが、見通しは立っていないようです。

この話をきいた時、「ああ、またか.....」と思いました。少し前にも、インディアナ大学のサイト(http://www.dlib.indiana.edu/variations/scores/)から、シュトラウスの楽譜が軒並み削除されたことがあり、何かの圧力だろうと思っていました。こういったことは仕方ないのかもしれませんが、あまりやりすぎると失われるものも多いと思います。個人的には、カナダ・サーバーでのIMSLPの再開を願ってやみません。業界側は反対でしょうけれどね。

当サイトもジレンマを抱えています。サイトの音源や楽譜はパブリックドメインではなく、現在、権利を保持している方の個人的なご好意で載せています。眠っているニレジハージの芸術を知らしめたい、という思いからです。しかし、ニレジハージの名が復活するにつれ、ビジネスが関わってくるようになります。そうなると、私のようなボランティアの自由度は失われ、楽譜や音源の掲載も難しくなり、かなりの確率でサイト閉鎖、少なくともアーカイヴの閉鎖に向かうでしょう。私個人は金と無縁のところでやっていますけれど、そういう人間もビジネスの論理に組み込まれて行かざるを得ない状況になっています。

まあ、ニレジハージの楽譜や音源が出版されれるような状況になれば、私がサイトを維持する意義も薄くなるのですけれどね。

以下に、いくつかの楽譜サイトのリンクを載せておきます。

http://www.dlib.indiana.edu/variations/scores/
http://www.sheetmusicarchive.net/
http://www.pianopassion.com/guideev3.htm
http://www.free-scores.com/index_uk.php3
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11/7/07

「ニレジハージをモデルにした芸術作品」

ニレジハージの全盛時、おそらく1920-21年頃に作られた、彼をモデルとした二つの彫刻作品の写真をアップロードしました。情報は以下です。

1. 胸像: (probably made by Charles Andrew Hafner, around 1920-21). The photo was taken by Nicholas Haz.

2. マスク (by "Grace Marion Browne" (possibly Grace Marion Brown, a graphic artist), around 1920-21)

Kevin曰く、二つとも、作者が完全に確定しているわけではないようです。
ただ、胸像はCharles Andrew Hafner (1888-1960)が1920年にNYで展示した、と言うことをニレジハージ自身が語っているので、ほぼ、Hafner作と見てよいでしょう。Hafnerはアメリカの著名な彫刻家です。

マスクの方については、"Grace Marion Browne"と言う名が写真の裏に書いてあったそうです。Kevinは、この人物の素性はわからないと言っていました。一方、このマスクが作られた頃、Grace Marion Brownという、一文字違いのグラフィックアーティストがいました。私は彼女が作者ではないかと思います。Kevinも同意していました。

いずれにせよ、こんなアートが作られるあたり、渡米当時の彼がどれだけ注目されていたかがわかりますね。

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11/6/07

Kevinがアメリカ国会図書館のサイトからニレジハージの写真を拾ってきました。資料室に加えました(#1, #2)
#1は英語版のウィキペディアにも使われています。髪型から見て、1920年代の前半でしょう。
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11/3/07

「ニレジハージ正規CD発売情報」

Music and Artsの CD"Live Recordings 1972-1982"がAmazon.comで予約できます。12/11発売とのこと。やっと、ですね。トラックリストはこちら。

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11/2/07

Liszt: "Il Penseroso"の録音をアップロードしました。1973年7月、R. Antonioli邸におけるホームコンサートからの未発表トラックです。

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11/1/2007

10月のダウンロードトップ10です。ここのファイルにアクセスするには、www.fugue.us/WAVE.mp3のようにタイプしてください。英語版で、「おまかせページ( Chef's choice)」というのをつくっておりまして、そこに入っているファイルが上位に来ています(時々中身を入れ替えています)。そろそろ、何か録音を加えないといけませんね。

/WAVE.mp3
/Mazeppa.mp3
/Brahmsmov2.mp3
/flower_waltz.mp3
/DANTE_SONATA.mp3
/Brahmsmove1.mp3
/Mazurka_In_C-sharp_minor.mp3
/Liebestod.mp3
/Soul_of_monster.mp3
/RhapsodyOp119_4.mp3