サイト更新情報

2/29/08

「Note by note」


L1037という一台のニューヨーク・スタインウェイ・ピアノが出来るまでを追った、Note by Noteというドキュメンタリー映画を見ました。最初は木枠だったL1037に様々な部品が取り付けられ、調整を受け、そして最後にエレーヌ・グリモーが出て来て、「とてもいいピアノね。すぐに気に入ったわ」と、その楽器でラフマニノフの前奏曲を弾いて終わります。これだけだと何の変哲もない話なのですが、面白いのは、まさにそのL1037(写真)が映画館に置いてあって、上映後に誰でも弾くことができることでした。フィルムとともに、ピアノが全米をツアーする、という趣向です。
私も手を出し、たまたま最後だったので、20分くらい弾かせてもらいました。音色は、上から下まで均一に美しい潤い。そしてスタインウェイらしい金属的な要素。個人的な好みよりは、音がちょっとキラキラしすぎている印象がありました。でも、弾きやすく、レスポンスがとてもいい楽器でした。気に入ったのは、いくら力を入れても、音が腰砕けにならずにビーンとはね返ってくること。スタインウェイは過去にも弾いたことがありますが、これほどシッカリした印象のものはありませんでした。モダン、コンパクト、シャープ、タイト、といった言葉があてはまります。全体的にカッチリとまとまった楽器という印象をうけました。イメージで言うと、細部まで精密に整備されたスポーツカーみたいです。値段を訊いたら$100,000. 日本で買ったら2千万円はいくでしょうね。でも、それが十分納得できるいい楽器でした。

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2/28/08

カウンタを設置してちょうど一周年で10,000ヒットを超えました。トップページをスキップしてアクセスされる方が多いので、実数はこの2倍近くあるようです。

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2/27/08

Forbes がKevin にインタビューしています。これ、フォーブス日本語版雑誌にも出るのでしょうかね。

http://www.forbes.com/books/2008/02/27/hungary-pianist-nyiregyhazi-oped-books-cx_rh_0227bazzana.html

この中で、グールド、カルロス・クライバーやブランドの事を話しています。彼は基本的に変人の天才が好きなんですよね。クライバーが死んだ時、Gramophoneのサイトで知って、すぐにメールしました。物凄いショックを受けていました。

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2/26/08

Music and Arts盤のレビューを載せています。
http://www.fugue.us/Nyiregyhazi_discography-3.html

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2/25/08

「VPOのコンサート」
ロンドン大学関連の研究機関と一年近く交渉していたのですが、一昨日、最終オファーを貰いました。4月-6月の間にロンドンに移るつもりです。ただ、こちらで始末しなければならないことも多く、予定はまだたちません。

ロンドンでは、2/23にバービカンセンターで行われた、ゲルギエフ指揮のVPOのコンサートに行きました。ソリストにイエヒム・ブロンフマンを迎え、プロコフィエフのピアノ協奏曲第二番、チャイコフスキーの悲愴、ヴェルディの「運命の力」序曲、というプログラムです。驚いたのは、キュッヘル、シューミドルのようなベーム/カラヤン時代からのおなじみに加え、女性奏者がいたこと(写真、左から二人目)。第一ヴァイオリンに二人、ヴィオラに1人、オーボエに1人です。対外用のエキストラなのかもしれませんが、あの保守的で、女性を一切拒絶してきたVPOの変化の表れなのかと思いました。もちろん、毛織物のように柔らかく、よくブレンドされた音色と、多彩な表現力は健在。VPO信者からほど遠い私ですが、今回の演奏は彼らの底力を感じさせるものだったと思います。オーケストラも体全体を揺らしながらの熱演でした。珍しいことだと思います。

さらに圧倒的だったのはブロンフマンのピアノでした。プロコフィエフの協奏曲第二番は超難曲として知られていますが、ブロンフマンはほとんど破綻らしい破綻を見せず、クリスタルのような音色に加え、まるでリヒテルのように雄大、かつ構築的なピアノを響かせていました。特に、第一楽章のカデンツアの集中力は素晴しいもので、こちらも一瞬、時間の過ぎるを忘れたほどでした。普段はお高くとまるVPOの連中もブロンフマンの演奏にすっかり感動したらしく、客と一緒に、大きな拍手を彼に送っていました。その拍手に応え、オーケストラを前にスカルラッティのソナタを一曲弾きました。これが濃厚なロマンティシズムと美しい叙情を感じさせるものでした。

ゲルギエフについては、予想通り。アクの強い演奏だったと思います。説得力のある面と、効果を狙い過ぎてイヤらしくなる面の二つがありました。チャイコフスキーは、フレーズ、音の出し方、テンポなど、ムラヴィンスキーの明確な影響を感じさせるもので、よくDG盤を聴いたんだろうなあ、と聴きながら思ったほど。ただ、第三楽章のテンポはVPOの処理能力を超えたのか、ところどころ、指揮者とオーケストラの間に齟齬を感じさせました。第四楽章は打って変わってマーラー風の表現主義の世界を展開し、これはVPOの表現力もあって、かなり成功していたとおもいます。最後の和音が鳴って、拍手が始まるまで約20秒間の沈黙があったのが印象的でした。

ゲルギエフについては、ずっと気になっていたことが一つ。基本的に、彼の手が下を叩いた瞬間に音が出る、という、VPOらしくない風景が展開されていたのですが、時々、VPOの反応が棒から遅れたり、あるいは早くなることがありました。複雑なシーンになると、棒(というか手)の動きが曖昧になるため、VPOが耳で聴いて合わせているような印象もありました。「よくあの指揮で合うな」と思いつつ聴いていたのですが、そんな事を考えるくらいだから、あまり熱中していなかったのかもしれません。でも、コンサート自体は、ブロンフマンの凄い演奏が聴けたので満足です。

ニレジハージのCDが届いていました。これからチェックします。
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2/19/08

歴史ある雑誌である、The AtlanticにLost Geniusのレビューがでています。下の方にはノーベル文学賞を受けた作家二人の本も取り上げられているそうで、Kevin本人は喜んでいました。
http://www.theatlantic.com/doc/200803/new-books

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2/17/08

やっと時差ぼけと帰国の疲労がとれてきたところです。どういうわけか、東周り、アメリカに帰ってくる時の方がキツイです。でもまた水曜日から新たな時差との闘い。

ユタ州の地方紙、Deseret Morning NewsがLost Geniusについての好意的な批評を載せています。
http://www.deseretnews.com/article/1,5143,695253287,00.html

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2/13/08

「M&AのCDのマスタリングについて」

帰国中にジブリ美術館に行ってきました。宮崎監督の書斎という部屋があって、いろいろ興味深かったのですが、面白かったのはジョージ・セルのCDが二枚あったこと。シュトラウスのティルと..........もう一枚はなんだったっけ。失念しました。ただ、やっぱりいい趣味しているんだな、と思ったことは覚えています。ガーディナーあたりのマタイ受難曲のCDもあったように記憶しています。

税関の手続きで遅れてしまい、私のところにはM&AのニレジハージのCDはたぶん来週に届きます。ただ、数人から頂いた情報では、「伝説」はオリジナルのマスター音源ではないようです。話を聴く限りでは、私も持っている、マニアの手によってガンガンにイコライザ処理したものが使われたようです。ヒスが多く、低音が増強され、ピアノの音が前面に出ていました。個人的にはLPの音の方が好みなのですけれどね。ただイコライザ処理されたものは、細部は比較的はっきりと聴こえるので、こちらを好む人はいるかもしれません。Kevinにこの間の事情をきいたところ、LPのマスターテープにアクセスできなかったようです。それならそれで、我が国でもさかんな板起こしという手があったと思うのですが...........。いずれにせよ、皆、我執など捨てて協力しあってほしいものです。これはこの事に限りません。

いずれにせよ、LPバージョンを聴きたい方は、「波」に関しては本サイトの音源をお聴きください。これについては、CDが到着次第、詳しくレビューします。来週からロンドンに行くので、レビューのアップは2月の終わりにずれ込むと思います。

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2/12/08

昨日シアトルに帰ってきました。写真は鎌倉、長谷寺での一枚。
職場へのお土産は浅草で購入したショウガ入りの煎餅。好評で、30分もせずに跡形も無く消えました。固い方の八つ橋なんかも喜ばれますので、外国で誰かにお世話になる時はぜひどうぞ。

下のアーティストのお二方にメールを送ったところ、懇切丁寧な返信メールを頂きました。嬉しいですね。こういうのは。大会場のコンサートについては、グレン・グールドの「コンサートは死んだ」という言葉に同意できるのですが、こういう、客が10人程度の流し形式のコンサートに関しては、その言葉は決して当てはまらないと思いました。演奏会というのは、実はこれくらいのサイズが理想的なのでは?そんなことを感じさせられました。やる方は食えないでしょうけどね。

The Atlanticが、ニレジハージの伝記、「Lost Genius」の好意的な批評を載せます。2月後半に出るようです。それから、Kevin Bazzanaの話では、ハリウッドの某有力プロデューサーが、Lost Geniusの映画化に着手しようとしているとの噂です。


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2/8/08

CBC radioがLost geniusを賞賛しています。7:45から15秒ほどの箇所です。
http://podcast.cbc.ca/mp3/qpodcast_20080130_4581.mp3


先月末から一時帰国しており、更新が遅れています。東京は寒いですね。来週にアメリカに戻り、それからすぐにロンドンです。忙しいです。

帰国中にとある日本人歌手のライヴに参加してきました。ワールドミュージックの分野で世界的な活躍をされている、偉大なヴォーカリストです。私は学生時代からもう15年ほど聴き続けているのですが、どういうわけか生の歌声は始めてでした(彼女の音楽については、いずれ詳しくご紹介したいと思います)。今回のライヴは何畳もないような小さく細長いバーで、アコーディオン奏者とのデュオで行われました。客も10人を超える程度で、彼らとの距離も1mくらい。この夜の事はいつまでも記憶に残るでしょう。長年のファンである私には夢のような出来事もありましたし。

しかし、弾く方は「流し」形式は始めてということで、冷や汗ものだったとのこと。でも私には、演奏側の「エイヤっ」という綱渡りの瞬間も含めて、実に濃密な、幸福なコンサートでした。